クローズドループ

クローズドループは、地熱貯留層を使わず地下深部に設置した密閉型パイプ内で流体を循環させ熱を抽出する次世代技術です。従来型の課題である地域依存性や環境負荷を克服し、地震誘発リスクも回避します。クローズドループは、信頼性が高く安定したエネルギー供給を可能にする技術として、エネルギー市場の新たな基盤を築いていきます。

イラスト:木下真一郎

次世代型地熱(クローズドループ):日本のエネルギー市場を変えるゲームチェンジャー

地熱発電は、再生可能エネルギーの中でも安定供給が可能な技術として注目されています。しかし、従来型の地熱発電では膨大な地球のエネルギーを活用するには極めて限定的な手法になります。

従来型地熱発電の限界

従来型の地熱発電は、地熱貯留層を利用して蒸気や熱水を抽出し、タービンを回して発電する仕組みです。しかし、この方式には以下のような課題があります。

地熱貯留層への依存

地熱貯留層が存在する地域に限られるため、導入可能なエリアが限られています。

長期安定性の問題

地下資源の枯渇や熱流体の減少により、長期間の安定した発電が難しい場合があります。

これらの課題は、地熱発電の普及と長期的な持続可能性に大きな壁となっています。しかし、地熱エネルギーが持つ潜在力を最大限に引き出すために、世界各国で次世代地熱技術の開発が進められています。

アメリカ合衆国エネルギー省(DOE)の発表による期待

アメリカ合衆国エネルギー省(DOE)は、「Pathways to Commercial Liftoff: Next-Generation Geothermal Power」というレポートの中で、次世代地熱技術により、現状3GWの地熱発電容量が、2030年までに10GW、2050年までに90GW、もしくはそれ以上の電力供給の可能性を示しました。

次世代型地熱発電:EGSとAGSの概要

次世代型地熱発電は、従来型の限界を克服するために開発された技術です。その中核技術として、以下の2つが挙げられます。

強化地熱システム(EGS)

EGS(Enhanced Geothermal Systems)は、地熱貯留層がない地域でも地熱を利用できる技術です。地下岩盤に人工的な割れ目を作り、注水によって地熱を抽出します。この技術により、従来型では活用が難しかった地域でも導入が可能になります。

クローズドループシステム(AGS)

クローズドループ(AGS:Advanced Geothermal Systems)は、地下深部に密閉型のパイプを設置し、その中で流体を循環させることで熱を抽出する技術です。地熱貯留層が不要で、誘発地震のリスクもありません。さらに、幅広い地域で導入に向けて動きを加速しています。

EGSのリスクと課題

EGSは地熱資源の利用範囲を広げる可能性を持つ一方で、以下のリスクと課題が商業化の障壁となっています。

1.誘発地震のリスク
水圧破砕を用いるため、地震を誘発する可能性があります。2017年には韓国ポハンでM5.4の誘発地震が発生し、この技術に対する社会的懸念が高まりました。

2.注水の回収効率
地下に注入した水が十分に回収できない場合、発電効率が低下します。この課題は、EGSプロジェクトの経済性に大きく影響を与えます。

3.コストの高さ
水圧破砕技術や追加的な掘削作業が必要となるため、初期投資コストが高くなります。

クローズドループの課題と可能性

クローズドループの課題

1.掘削コストの高さ
地下深部への掘削は、クローズドループにおいても建設コストの70~80%を占めます。掘削コストの抑制が商業化への鍵となります。

2.適切な技術開発の必要性
日本の地質は複雑であり、適切な掘削技術と探査技術を組み合わせることが成功の鍵となります。

クローズドループの可能性

クローズドループは、掘削コストの抑制が実現すれば、次世代型地熱発電の主役となります。世界の地熱資源の75%がクローズドループによって利用可能になるとされており、掘削技術の進展がクローズドループの商業化を大きく後押しします。

GeoDreamsによる課題解決

GeoDreamsは、クローズドループ(AGS)の課題に対し、以下の技術で解決します。

G-Pulse:掘削コストの大幅削減

G-Pulseは、深部掘削におけるコスト削減を実現する革新的な掘削技術です。

コスト効率: 1kmあたりの掘削コストを従来の3分の2以上削減。
掘削速度の向上
: 高速かつ精密な掘削で、プロジェクト期間を短縮。

この技術により、掘削コストという課題を解決します。

G-Pulseの紹介

Typhoon:最適な掘削箇所の選定

Typhoonは、高精度の地下探査を可能にする独自技術です。

地質データの高精度解析: 日本の複雑な地質構造でも最適な熱源を迅速に特定。
リスク低減
: 適切な掘削地点を選ぶことで、失敗によるコスト増加を回避。

この技術により、掘削箇所選定の課題を解決し、成功率を大幅に向上させます。

Typhoonの紹介

GeoDreamsが切り拓くクローズドループの未来

GeoDreamsは、クローズドループの商業化に必要な技術をすべて持ち合わせた日本国内で唯一の企業です。

革新的な技術力: G-PulseとTyphoonの組み合わせで、日本のエネルギー市場が抱える課題を解決します。
市場変革のリーダー: 日本のエネルギー市場を支える基盤を作り、日本のベースロード電源の未来をリードします。

次世代型地熱発電であるクローズドループは、環境負荷を抑えつつ信頼性の高い再生可能エネルギーを供給する画期的な技術です。当社はこの技術を活用して地熱資源を開発し、日本のエネルギー市場に変革をおこし、日本をエネルギー大国にします。

鉱物探査の世界的な課題

コストが高く、成功率が低い鉱物探査

 typhoonの説明画像

世界中の鉱物探査企業は現在、地下の新たな埋蔵鉱床を発見するべく、探査活動を進めています。しかし、その多くが、「広大なエリアの中で、これまで経験したことのない深さや、過酷な地下環境に存在する天然資源を探し出さなければならない」という大きな課題に直面しています。

天然資源を地下深くから掘り出すためには、まず地中に穴をあけて探査する必要があります。しかし、1本の掘削作業には数億円もの費用がかかるとされている上に、確実に掘り当てるためには高度な精度が求められます。掘削角度がわずか一ミリでもずれてしまえば、目的の資源を見つけ出すことはできないのです。

膨大なコストがかかるのに、成功確率が低い。
それが、これまでの探査技術の現実です。

このため、広大なエリアを効率的に探査することは困難だと言われてきました。実際、従来の鉱床探査技術のコストは、2011年には110億ドルに達し、1980年代と比較して3倍に増加しました。

それだけの費用をかけてもなお、地下の天然資源の発見率は年々低下し続けているのです。このような背景から、地下の天然資源探査の方法における技術革命が切望されていました。

Typhoonによる課題解決

地中のレントゲンTyphoonの開発

地中のレントゲンTyphoonの開発

世界をリードする高パルス出力企業「I-PULSE」は、この大きな課題に取り組むため、カナダ・バンクーバーを拠点とする鉱物探査企業「アイヴァンホ―・エレクトリック」と力を合わせ、革命的技術Typhoonを開発しました。

Typhoonは、地球物理学的探査の深度・品質、そして効率を劇的に向上させることを可能にしました。これにより、地下の構造を可視化し、まるで地中のレントゲンを取るかのように詳細な情報を得られるようになったのです。

この革新的な技術により、広範囲かつ深い部分までの高精度な解析が可能となり、探査の質と速度が大幅に改善されました。以前は探査が困難だった地域での天然資源の発見と回収に、大きく貢献することができるようになったのです。

さらに、この技術は地熱発電の分野にも革新をもたらす可能性を秘めています。

私たちGeo Dreamsでは、地熱発電における探査にも同じような課題があることを認識しており、Typhoonの応用によって、これらの課題を解決し、蒸気のある場所を効率的に探し出し、地熱エネルギー分野での大躍進をめざしています。

Typhoonの技術とは

より深く、精度は高く!Typhoonの5つのメリット

Typhoonの技術についての画像

Typhoon技術は、以下の5つの特徴を持つ、地下探査の分野における革新的な技術です。

1. 高パルス出力技術

Typhoonは最大で50アンペアにも達する高電流を地下に注入できる能力を持っています。

これは、従来の地下探査技術が注入できた電流の5~10倍に相当します。この高パルス出力により、より深い地層まで探査することが可能になります。

2. 深層探査

高電流注入により、従来の技術では到達できなかった3倍以上の深さでの探査が可能になります。これにより、以前は探査が困難だった地層や鉱床の発見可能性が大きく高まります。

3. 高精度なデータ収集

Typhoonは地下の電気的特性を非常に高い精度で捉えることができます。これにより、地下構造のより詳細な画像を生成し、鉱物資源の正確な位置と量を特定することが可能になります。

4. 効率的な調査設計

Typhoonは少量の水を使用して手掘りのピットから高電力を注入することで、広範囲の地域を迅速にカバーすることができます。また、電極間隔を長く取りつつも、トランスミッターの移動を最小限に抑えることで、調査の効率性を高めます。

5. 環境への適応性

Typhoonは、乾燥した土壌や高い抵抗性を持つ地域など、従来の地球物理学的手法では探査が困難だった環境でも使用することができます。この適応性により、これまで探査が難しかった地域での資源発見の可能性が大きく拡がります。

Typhoonの導入事例

困難な地域の探査も可能に!資源探査の新時代の到来

Typhoonの技術の説明

1、北ナミビアの調査エリア

北ナミビアはアフリカ南西部に位置し、北ナミビア・ナミビアは世界有数の鉱物産出国として知られています。

従来の探査手法では、作業に8年間という年月をかけたにもかかわらず成果を上げることができず、その豊富な資源を手に入れることはできませんでした。しかし、Typhoon技術の導入により、わずか6週間で120平方キロメートルの範囲を探査し、成功をおさめたのです。それだけではなく、さらなる探査ターゲットを明確にすることにも成功しました。これにより、探査プロセスがより効率的になり、資源発見の確率を大幅に高めることができました。

2、アタカマ砂漠のカラマ地域

アタカマ砂漠は、チリのアンデス山脈と太平洋の間に広がる海岸砂漠です。世界で最も降水量の少ない地域で、土壌は極端に乾燥しています。岩塩や石灰の堆積層で覆われている箇所が多いですが、その分、銅・銀・ニッケル・リチウムなどの鉱物資源に富んでいる魅力的な土地でもあります。

こちらも探査が困難な地域でしたが、Typhoonの導入により探査が劇的に改善。総面積が110平方キロメートル(東京ドーム約2350個分)の4つの調査エリアを、わずか4週間で完了することができました。

これらの例は、Typhoonが従来の地球物理学的手法では適していなかった地域で、効率的かつ効果的に調査し、新たな掘削対象を発見できることを示しています。この技術革新は、日本の温泉地や、これまで開発に苦戦していた地域での井戸掘削の可能性を大きく広げるものです。

Typhoonによる地球物理学的探査技術の進化は、資源探査の新時代を告げるものと言えるでしょう。